2011年6月3日に東京ドームシティホールで行われた「見逃した君たちへ〜AKB48グループ全公演〜」 B4th『アイドルの夜明け』公演の感想です。

【出演】多田愛佳、片山陽加、指原莉乃、仲川遥香、仲谷明香、内田眞由美、田名部生来、中塚智実、仁藤萌乃、米沢留美、柏木由紀、小森美果、平嶋夏海、渡辺麻友、浦野一美、小原春香

【ユニット曲】
「残念少女」(渡辺、中塚、内田)
「口移しのチョコレート」(柏木、平嶋、多田)
「片思いの対角線」(仁藤、米沢、小森)BD:田野、高橋朱里、サイード横田、岩田、平田、佐々木
「天国野郎」(浦野、仲川、小原、仲谷)BD:多田、平嶋、渡辺、内田、柏木、中塚
「愛しきナターシャ」(田名部、指原、片山)

アンコール:渡辺麻友「一人アルプスの少女ハイジ」(日本語、フランス語、スペイン語)
「Everyday、カチューシャ」は仁藤萌乃センター

★感動レベルが最も高い公演


B4thは結構長い間やっていましたし、研究生公演もよくやっていました。私自身は研究生公演を時折見に行かせていただいたのですが、正規メンバーとのギャップを感じつつも後半以降はチームBのフルでの公演を見ることができませんでした。

一応そういう前提のもとに感想を残しますが、今回のリバイバル、全19公演のうち、私は13回見ましたが、感動レベルが最も高い内容の公演でした。

何がすばらしかったのかというと、「秋元先生や振り付けの先生がB4th公演を通してチームBをこのように育てていきたい。こういう形で見せていきたい」という想いが、当時のレギュラー公演では果たせなかったのが、この日1年ちょっとぶりについに果たすことができたと思ったからです。

もともとチームA、チームKと比べると始動時期が遅くて、末っ子の甘えん坊としてなかなか大人として成長してくれないし、ファンは甘やかすしで、初期から見ているファンからはどうしても格下に見てしまう傾向にありました。

それが初めてのオリジナルセットリスト「パジャマドライブ」の『初日』という曲でようやくチームBの物語ができはじめたのですが、公演初日の「初日」がピークで、あとはメンバーの卒業・脱退などがあり少しずつジリ貧になった感が否めなかったのが3rd公演でした。もちろんチームBを中心に応援した人から見れば見解は違うのかもしれませんので、これはあくまでも私の個人的な感想にすぎません。

B4thはメンバーも入れ替わり、また新たな気持ちで始めることができたことや、ほどなくして研究生公演も最初の楽器演奏なしで同じセットリストをすることになったため、多少の対抗心も芽生え、新鮮な気持ちを維持できたのではないでしょうか。

この日、なぜ私が感動できたのかというと、チームBはほかのチームへ移籍したメンバーが多く、久々に集まれてテンションが高かったというのはもちろんですが、ほかのチームへ行ったメンバーたちみんながそれぞれ成長して戻ってきて、昔のチームB公演をやってみたらすごいクオリティの高いものになっていたからなんです。

これこそチーム組み替えの最も成功した例と言えるでしょう。

アンコール3曲目の『アリガトウ』ではメンバーたちも号泣していましたが、さすがの私も感動してもらい泣きをしてしまいました。懐かしくて泣いたなんじゃなくて、メンバーたちの成長ぶりに泣けてきたんです。この時間と試練を乗り越えてきた姿を見て泣かずにはいられませんでした。

★大人になった女の子が演じるユニット曲


「残念少女」(渡辺、中塚、内田)
ユニット曲のほとんどがそうなんですが、当時と比べると顔も身体つきも大人になってしまい、それが当時の雰囲気とは違ってきてるのが少し残念な印象を受けました。

なぜ残念なのかというと、まだ歌詞の意味も振り付けの意味も深くわからないまま低年齢の女の子が演じるエロティシズムを大人が楽しむ、みたいな図式が当時成立したんですが、今は演じる側も成長し、歌詞の意味も振り付けの意味の理解度も高まってきているため、「上手に演じる」能力が高くなり、それが大人から見ると少し物足りない印象を受けるのです。

とはいえ、演出側がやらせたかったことを1年1ヵ月ちょっと経って理解し、できるようになったことはきちんと評価しないといけないでしょう。

「口移しのチョコレート」(柏木、平嶋、多田)
この曲も「残念少女」と全く同じ印象で、本当なら今ぐらいの年の3人が歌うべき曲だったので、当時は危なっかしくてエロいのが楽しかったのですが、今は危なっかしさはなくなってしまった印象を受けました。好意的に見れば成長してきてる、となります。

「片思いの対角線」(仁藤、米沢、小森)
すみません、バックダンサーばかりが気になって、そちらしか見えなかったです。
平田……踊れるようになってきた。
岩田……遠目に見てもきれいです。
高橋朱里……まだ頭が下がり気味です。

★小原春香さんの「不思議な存在感」


「天国野郎」(浦野、仲川、小原、仲谷)
昔も今も昔のまま楽しめました。

小原さんは前日のA4thではAの中に入って昔の研究生時代の何か得体のしれない期待感を抱かせると思えば、この日のBの中では研究生当時よりは多少精彩を欠くかもしれないが安定した“きゅるるん”キャラを発揮しています。舞台「ぐつぐつ」「ライフパスファインダー」ではその中で特に目立つわけでもないのに存在感だけは残しています。

いったい小原さんはどういう人なんでしょう。本当に今でも本質が見えない(笑)。いい意味でとらえると、どんな環境の中に置かれてもその中にあって特段目立つわけでもないが、一定の存在感を確実に残せる特異な才能の持ち主です。一方、ネガティブな意味で言うならばまわりに影響されて個性が発揮できない人です。

そもそもその個性がどこにあるのかというのを本人が突き詰めているのかというところまで深く踏み込んでしまってはいけないような気もしますが、SDN48の中でもこれまた同じような一定の存在感を持って存在しているので「個性を伸ばす」「キャラを引き立たせる」ということに演出側がいまひとつ一生懸命になれないのではないかと心配にもなります。

まあそれは本人が決めることなので私にはどうすることもできないですが、何か彼女の将来に必要なことのヒントになる可能性がないとはいえないので感想だけ残しておくことにしました。

★指原莉乃さんの堂々としたステージっぷり


「愛しきナターシャ」(田名部、指原、片山)
この曲の私の見どころは、さっしーの無駄に必死にやってるところで、その必死な腕振りにも「へたれ」感が漂っていて、これがどうしようもないバランスのもとで成立してそれが楽しかったのです。

ところが、この日の指原さんのナターシャは「自信に満ちた目と表情」で圧倒していました。思えばこの曲で開花していき、チーム移籍とともにメディアからの注目度も一段と上がり、この日チームBに戻ってきた彼女はまさしくシンデレラなのでしょう。

そのたくましい成長ぶりには感動しますが、そのへたれぶりが見られないのもまた一方で寂しい、そんな複雑な気持ちで見ていました。

チーム移籍によってはっきりと成長して戻ってきたと感じたメンバーはさっしーだけでなく、田名部さん、片山さん、仲谷さん、中塚さん、仁藤さんです。チームBのままで成長してたと感じたのはまゆゆとなっちゃん。名前の挙がっていないメンバーも成長しているのですが、名前を挙げたメンバーの成長度合いがすごかったので相対的に目立ちにくかったです。

とにかく中盤以降、やる曲やる曲、昔見た物足りなさがほとんどクリアされて、彼女たちはこの1年とちょっとでどれだけ成長できたんだろう、と思いました。それこそが私にも気づくことができなかった「リバイバル公演の意義」だったんじゃないかと思いました。

そして最後の柏木さんのまとめのあいさつのどれだけすばらしかったことか。要約すると
「1年ちょっとの間にチームも変わって戻ってきてちょっと成長した姿を見せられたと思います。これからも精進していきます」
といったことを話していたのですが、ちょっとどころじゃないです。本当に大きく成長して戻ってきました。すばらしいチームだったんだね、チームBを一番に応援したファンがどれだけ喜んだかは想像に難くないです。

「アリガトウ」の歌詞をひとつずつかみしめて歌う姿を想像するだけで今でも泣けてきます。本当にいいものを見せてもらいました。